君と僕は離れてしまった

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怒らせる気はないし、喧嘩だってしたくはないけれど、彼が私に対して何の不満も言わず怒らずなのが少し不満。一度くらい思い切り怒られてみたいし、文句も言われてみたい。猫なんて言ってる割には従順すぎて。それもこれも全部、私のことがよくわからないからって理由だとしたら、申し訳ないけれど。彼に対してどう振る舞えばいいのかわからないわ。付き合い始めてから彼は外見も中身も随分と変わったけれど、私は殆ど変われていない。変わったことなんて処女じゃなくなったことと彼氏がいなかった頃の醜さくらい。そもそも変わりたくないのが原因なわけで、しかも変化を怖がってるのが理由で。

恋人ができたからって何もかもを相手の好みに合わせるなんて嫌で、主体性がないし個性の喪失だし、気に入られるように変えるくらいならありのままを好いてくれる人と一緒にいるわ、と。そうやって思っていたんだけれど、彼に褒めてもらえると嬉しいし、できる範囲のことなら喜ばせてあげたいし、きっと彼も私に喜んでもらいたくて、邪魔なのに髪の毛をのばしたり服装に気を遣ってるわけで。自分を貫くとか個性を大事にするっていうことだけを頑なに言い張ったら駄目なのね。個性個性な んて言っておいて、私はただ逃げているだけなんだわ。本当に素敵な人なら、提案されたものも自分に組み込んでさらに新しく素敵になれるはずだし、常に変化を怖れ ないのが大事なのね。

辛さや嫌なことを知っていて初めて本当の楽しさや幸福が判るわけで、私の場合は好きなものだけを意地になって守り抜いて、同士なんていらないっていうのはその人が私より詳しくて思う気持ちが勝っていたらどうしようっていう危惧で、その他のものを嫌いというのは実は食わず嫌いで、自分の体裁が悪くなるのが嫌で触れもしないし関わろうともしないし、自分の世界に入ってこないように初めからシャットアウトしてるだけ。本当なら全部試した上で、その中から自分が本当に好きだと思うものを選びとれば良いのに、プライドやらなんやらでそれができなくて、ここまで解っているのに行動に移さない私はきっとこれからもこのままで。彼がこんな欠陥人間を変えてくれるのか、その前に愛想を尽かすのかは分からないけれど、今のままじゃあ自分から変わるということはないのでしょうね、残念ながら。