今日は予備校で講評会をする日だったから、いつもより早く終わって、駅に着いたら8時半。お店の閉店時間はほとんどが9時だからまだ余裕があって、まっすぐに帰らずに寄り道。本屋さんに行こうと思ったけれど、雑貨屋さんへ。久しぶりで、それに加えて閉店間際でお客さんも少なかったから一人で騒いでニヤニヤしながら店内を物色。雑誌のコーナーにふらりと立ち寄ったら、見覚えのある格好の男性。わたしの彼。見つけた瞬間思わず勢いで横から体当たり、挨拶もなしに。彼は驚いて(正確には引いて、)状況を解したみたい。それから二人でラーメンを食べに行って、良い子よろしく10時にはさようなら。
ここ数日間、ずっと彼に会いたくて抱かれたくて、健全な思考も変態な思考もごちゃ混ぜで常に気が付いたら彼のことを考えているくらい恋焦がれていたから、それに突然出くわすっていうシチュエーションももう何度も妄想していたから、実際に起こってとてもハイなテンションに。彼が出没するはずなんてない場所だったから、なおさら幸せで。もしわたしが今日やっぱり、と思って地下鉄を途中で降りていたらこうはならなかったし、自分の体裁を貫いて本屋さんに行っていたらこうはならなかった。シャツを染める気とか油絵を描く気とかがもっと強くてまっすぐ家に帰ろうなんて思っていたらこうはならなかった。また彼も時間つぶしに立ち寄ったらしいので偶然に偶然が重なって何か一つでも違っていたら、どちらかの気分が変わっていたら会えなかったのでこれは運命。なんて運命は信じないですけど、幸運だったことは確か。確かなものは信じる。ところで出会ったのが夜だったからわたしの方はいつもより生き生きしてて、彼はいつもより眠たそうで、何だかとてもうざったかったと思う。まず体当たりって、不意打ちは前にも彼にしたことあるけれど、そのときも固まっちゃって間に壁が見えて距離を置かれて引いている空気を肌でひしひしと感じたから、今考えるとやるのはまずかったんだけど、あの状況で踏みとどまるのは無理だった。もし踏みとどまれたらもっと気の利いたアプローチが無数に思いついたのですけれど。それで眠たがっている彼に明るく話しかけて一週間分の言いたかったことを発散するのもいけなかった。と言ってもやっぱり話を持ち出すのは彼の方が多かったけど、今日は話さなかったけれど話そうと思えばわたしから話せた。相槌の乗りとかわたしの甘え具合が自分でも引いちゃうくらいすごくて、それでいて制御不能で、彼には疲れさせてしまった。あれならどこかのいまどき女子高生と変わらない。情けないね。青春真っ盛りの女子高生を否定する気はないが、わたしはもう少し大人でいたい。大人でいたいなんて格好つけててむしろダサいけど、彼との付き合いはスマートにしたい、外では。外では。冷静さは皆無だったと思いきや、ご飯のときは食べ方に気を付けたし、キスはちゃんと拒んだからまだそんなに悲惨でもない。テンションが高かっただけで理性まで吹き飛びはしなかった。でも声をかける方法をもう少し試行錯誤すべきだった。彼はいつものわたしより今日のわたしの方が良いって言うと思う、もう少し落ち着けば。でもあれは夜行性のわたしが彼に不意打ちで夜に出くわしたからで、明日の真昼間に会うとなるとまた別。明日はどうなるかしら。そして今日の幸せは多分着彩に頑張って耐えたのと一日中指輪を付けてい たおかげ。
ね、この幸福感を消すのって良くないし、今日と明日の彼との思い出に不純なものを挟むって良くないから、オシゴトはさぼろうかな。無理やり理由をこじつけたのは内心すごく嫌だから。どうしよう、考えたら幸せ気分が逃げてきた。やめよう、今日は彼との思い出を抱えてこのまま幸せに眠る。二日休んで明日から復帰。ごめんなさい。でも許してわたし。認めて受け入れて許さなくちゃいけないのはわたし自身。
だって此れは運命でしょう
# D/ay